スターウォーズの第1作が上映されたのは僕が大学生だったころ。以来、つきあってきたスターウォーズ。でも、エピソード4,5,6の後、時代を遡ったあたりから少しずつ興味が薄れていました。おまけに、出場人物の相関も役者が異なるという不都合もあって少しわかりにくくなり、年を重ねると「この年になっていつまでもSF映画じゃあるまい」と思うようにさえなっていました。
それでも、これで完結するとの予告と、妻の誘いもあって観てきたエピソード9。
はじめは不自然で奇をてらった登場者の恰好に白けましたが、次第に引き込まれていきました。
映像のスピード感や迫力もすごいものがありますが、それ以上に、映画に織り込まれたメッセージ性に考えさせられたのです。
それはジェダイに象徴される「明」とシスに象徴される「暗」を行き来する心の葛藤と、強烈な正義感の訴え、負けそうになる人の弱さです。両者は別々の登場人物によって描かれていますが、実はどんな人の心にも潜む明と暗であり、1人の人間の内面を表現しています。その証拠に、彼等の思いを実現させるフォースは両者とも共通であり、同等の力量を備えている。
人間は自身の思いを体現するために手足や身体をツールとして使います。その思いが善であっても悪であっても、体現しようとする人間が本人その人ならツールとなる手足は自分自身のものですから、その力量は同等です。
つまり、フォースは手足、思いはどんな人にも備わっているジェダイの心とシスの心。明の思いを体現するのも自分のフォース、闇の思いを体現するもの自分のフォース。フォースが体現するものは自分自身の思い次第というところです。
憎しみの連鎖がシスである暗につながり、憎しみからの解放といつくしみがジェダイである明の盟主となる。
イランの核合意を一方的に破棄したところから始まった憎しみの連鎖、ユダヤとアラブの間、シーア派とスンニ派の間、韓国と日本の間にある憎しみの連鎖が世界を闇の世界へと落としていきます。映画はそれぞれに関わる一人一人に語り掛けています。自らの内面にある明と暗に気づき、憎しみの連鎖を断ち切って互いにいつくしみなさいと。
スターウォーズでは敵と味方、善と悪がはっきりしています。誰の目にも明らかな善と悪が現実の世界ではとてもわかりにくい。近年、テレビドラマでもいわゆる勧善懲悪的なものはリアルさに欠けるとか「わざとらしい」と、敬遠される傾向にあります。しかし、スターウォーズのようなわかりやすい基本がしっかり備わっていないところへリアルなものばかりを見せつけてもかえって害になるのではないでしょうか。
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